価格の設定

マイツールの価格をいくらにしようか、というのも大きな問題でした。

他ソフトとの比較

「PIPSは年間5万円という使用料にしている」 と長谷川さんや荒川さんが言ってましたので、「使った時間で料金もらおうか」 とかいう案も出ました。 これは実施にあたり準備に時間が掛かるからというのでボツになりましたが、あの時じっくり検討してそのような料金体系にしていたら面白かったでしょうね。

「ハードの償却期間は5年、ソフトはどうだろう、最低3年は使うんじゃないか。PIPSが年5万なら15万でもおかしくないな。」 というような話もありました。

そのころワープロや表計算、グラフ等のソフトは3万円台が普通でした。 マイツールはワープロ、表計算、グラフ、データベースの機能が1本で可能(データを変換していくつかの機能を実行出来るソフトが統合ソフト、と言われ出していました) なのだから、統合じゃなくて融合ソフトと謳おう、12万円でどうだろう。 という案が出され,そのくらいかな〜という雰囲気が強くなりました。

使えるまで面倒を見る費用

コンピュータはソフトがなければただの箱、ソフトだって使えなくてはなにもならない。 マイツールは使えるまで面倒見なくてはならない。 ソフト、スクール、サプライ、セールスの4S戦略で行こうというのは我々が何度となく集まって検討したマイツール戦略だったわけです。
そのためにスクール(教育)もマイツール価格に含ませよう、その他のSを提供するために全国の販社ににOAプラザを作ろう、というのが戦略実行のための1つの戦術だったのです。 このような戦術がすんなりと受け入れられたのは、常に長谷川さんや荒川さんが上層部にそのように吹き込んだことが大きいですね。 社内の人より社外の人に言ってもらう方が効果がありますから。

マイツールはコンピュータ初心者に売るのだから、買った人には教育して使えるように面倒見よう、そのために教育受講券入れて誰でも無料でOAプラザで教育受けて貰おう。 プラザに行けばサプライもすぐ手に入るようにし、ユーザーにアドバイス出来るような人も常駐しているようにしよう、というのが我ーの狙いだったのです。 そのための販社の費用に対して、ユーザーがちゃんと教育受けたというサインした受講券が本社に届いたら3万円バックします。 それとプラザの維持費としてマイツール1本あたり3万円あげますというのを決めたわけです。

その結果6万円分をマイツール価格に含めるというので、結局は19万8千円という価格に落ち着きました。 販社にしてみればマイツールを1本売ればソフトそのものの利益のほかに6万円が手に入ったわけです。
このやり方は効果があり、短期間に全国に多数のOAプラザが設置され、スクールの先生として優秀なインスト(女性)が多数育ったのです。 また販社にとってもマイツールは利益率の高い商品であるというので、力を入れて売るようになったのです。

しかし、後になってこのやり方は色々な問題をかかえることになったのですが、当時はマイツールの立ち上げの強力な原動力でした。

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